医療従事者と患者の距離感(女性・看護師歴11年)

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みんなの看護観

看護学校の外科研修の時、私が受け持っていたのが肺がんの患者さんで手術入院されていました。術後生活指導を私がすることになり、喫煙者だった患者さんに禁煙指導をしました。70代男性のその患者さんは奥様と一緒に私のつたない生活指導を聞いてくださり、苦笑いすることもありましたが、結果「タバコはやめようかな」と言ってくださいました。
その後も実習で他の患者さんに食生活などの指導をいていきました。
就職してからも、外科勤務だったので、その都度生活指導を行っていきました。皆さん黙って聞いてくださいますが、退院後の指導の為どこまで実行されているかわかりませんでした。私も禁煙=絶対ダメ、ましてや肺がんなどの肺疾患の患者さんならなおのこと、など疾患によって控えた方がよいものは絶対に気を付けていかないと、ときつく指導していきました。
それから8年後、透析室勤務になりました。透析は今までと違って同じ患者さんとずっと接していく仕事でした。透析は食生活がとても大切になるので、透析中に指導するのですが、その結果が次回の透析日によくわかります。ラーメンなどもってのほかですがわかってて食べたとか、果物狩りに行きたいなど、皆さんわかっているけど、生活も楽しみたいという人ばかりだった。もちろん状態がよければラーメンも汁を飲まずに、果物も少量なら食べれます。その中で本人と、検査データとを比べながら話します。
ある日、透析をされている人が亡くなりました。体格のよい男性で、透析の看護師さんならわかると思いますが2日に7㎏も体重が増加してくるちょっとびっくりの患者さんでした。生活指導も無視、こちらの再三の忠告も無視、透析時間の延長などの提案も無視されている方でした。その方について透析技師さんが、「自分の父親も透析をしている。怒鳴ってでももう少しきつく指導すればよかった。」と言われました。私も、もちろん他のスタッフも同じように考えていたと思います。でも、その患者さんは制限ある中でも楽しそうに日々生活されていました。確かに寿命を縮める行為だったとは思いますし、毎日体重増加で息をするのもきつかったと思います。それでもその日に食べた食べ物をおいしそうに話すその患者さんの顔が忘れられなくりました。
生活指導は医療従事者として、看護師としてとても大切なことだと思います。しかし人間は1度しかない人生を楽しみたいという欲求をもっているのではと思います。今まで私はあれこれダメなものを挙げ、きつく時には叱咤しながら指導してきました。その病気にはこれがダメなのだから、ダメなものは絶対ダメでしょ、といった風に。病気からしてはいけないことを見つけ、患者さんに押し付けていたと感じ始めました。もちろん医療従事者として、持っている知識を患者さんに提示するのが仕事だと思います。タバコを例にとってみると、タバコは肺以外の臓器にもそして周りにいる家族にも影響をあたえます、しかしその患者さんの退院後の人生を考えた時に、果たして禁煙してしまうことはが幸せになることだと考えにくくなりました。禁煙することが家族やその患者さんの体にとっては良いことかもしれませんが、患者さんの楽しみはなくなるかもしれません。本人が考えた末にそうしたいと願えば、本人の希望を叶えることも一つではないかと考えるようになりました。
それから生活指導をするときは、「指導」ではなく「提案」するようになりました。もちろん医療従事者として、きついことも言いますが自分の気持ちが変化し、その人の人生はその先本人自身が決めることだと考えるようになりました。冷たいことだとも思いますが、医療従事者として、その距離感が大事なのではと思っています。


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